顎関節症
次の症状が思い当たることはありませんか?
「口が大きく開かない」
「口を開けると顎の関節が痛い」
「口を開けると顎がコリッ、ジャリッという音がする」
これらは、「顎関節症」の三大症状とされています。首すじやあごの周囲に頑固なにぶい痛みが続いたり、つらい肩こりなどを引き起こしたりもする顎関節症。痛みの出やすい筋肉を右に示します。
A:側頭筋(そくとうきん)...咀嚼筋のひとつです。
B:咬筋(こうきん)...噛みしめた時に触ると容易にわかります。
C:胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)...頭を傾けるときに働きます。
D:僧帽筋(そうぼうきん)...首の後ろから鎖骨、肩甲骨にわたる強大な筋肉です。肩こりの原因といわれています。
E:顎二腹筋(がくにふくきん)...下顎を後ろに引く筋肉です。
X:顎関節部...耳の前に指を当てて口を開けたり閉じたりすると触知できます。顎関節症でよく痛む場所です。
顎関節症とは
片側の歯ばかり噛みしめるくせがあったりすると、片方の歯はかしいだり、沈み込んだりします。
その結果、下顎の位置は垂直的・水平的なズレを生じ、少しねじれて奥の方に入り込んでしまいます。
下顎骨は重い頭部のバランスをとる「振り子」の役目を果たしていますから、これがズレると頭部を支える筋肉群の神経系統に
大きな混乱を生じさせ、顎関節周辺の筋肉や、首や肩、背中などの筋肉に無理な緊張状態を作り出すこととなるのです。
この顎の位置のズレによって生じる多彩な症状を「顎関節症」(正確には症候群)と称しています。
また、下顎の位置がずれている「顎偏位症」は、首から肩、腰にわたって身体の軸のずれを引き起こし、
肩こりや腰の痛みの原因となることがあります。
治療法
治療は、痛みをとるための治療と、痛みの原因、咬み合わせのずれを治していく「咬合治療」とに分けられます。
筋や靭帯がひどく痛む場合は、消炎剤を服用し
痛みをとる治療をします。口が開かなくなった場合は
「スプリント」という取り外しのできるプレートを作って、
しばらくの間はめて様子を見ます。
スプリントの片面はつるつるにしてあり、上下の歯が直接
咬み合わないようにして、顎関節や筋肉の安静をはかります。
この方法だけで症状が軽快してしまう人もいますが、
長い間に咬み合わせが大きくずれてしまった人の場合は、
ずれを直すために歯を作りなおして、顎をその人にとって
自然な本来の位置に誘導していく必要があります。
咬み合わせを三次元的に改善していくのは、非常にデリケートで
大変な作業となり、熟練した技術が求められる治療です。
大学病院では口腔外科がこの病気を担当しています。
当院では、30年以上にわたり診断と治療に積極的に取り組んでいます。
顎のつらい症状でお悩みのかたはぜひご相談ください。